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ベトナムの世帯収入を正確に把握することは依然として難しい課題です。一部の国では詳細な収入統計が定期的に公表されますが、ベトナムには全国規模の包括的なデータベースが存在しません。この情報の欠如により、企業や政策立案者が所得分布や市場機会を適切に評価することが困難になっています。
この課題を解決するために、私たちは全国規模のインタビュー調査を実施し、ベトナムの世帯収入の実態を明らかにしました。本調査では、ホーチミン市やハノイなどの都市部と、それ以外の地域を対象に比較分析を行いました。各世帯から直接得たデータをもとに、所得分布の実態と市場への影響を明確にすることを目的としています。
今回の調査では、都市部と地方で大きな収入格差があることが明らかになりました。特に、ホーチミン市とハノイは高所得世帯が多く、地方では低所得世帯の割合が高いという結果が出ています。
例えば、月収1000万VND未満の世帯はホーチミン市とハノイでは0.7%にとどまるのに対し、地方では2.2%となっており、約3倍の開きがあります。一方で、月収4000万VND以上の世帯はホーチミン市とハノイでは3.9%を占めるのに対し、地方ではわずか0.6%にとどまります。
中間所得層に目を向けると、都市部では月収2000万~3000万VNDの世帯が最も多いのに対し、地方では月収2000万VND未満の世帯が依然として多数派であることがわかります。このような違いは、都市部の方が経済活動が活発で給与水準が高いこと、また外資系企業の進出やサービス業の発展が収入格差に影響を与えていることを示しています。
都市部の中でも、ホーチミン市は最も所得水準が高く、次いでハノイ、ダナンの順となっています。
データによると、月収3500万~3999万VNDの世帯はホーチミン市では15.5%、ハノイでは11.0%、ダナンでは1.8%と大きな開きがあります。さらに、月収4000万VND以上の世帯の割合は、ホーチミン市で5.8%、ハノイで1.8%、ダナンではわずか0.5%と、ホーチミン市の高所得層の厚さが際立っています。
一方、ダナンは経済発展が進んでいるものの、依然として中間所得層が中心であることがわかります。特に、月収1500万~1999万VNDの世帯の割合が28.8%と最も高く、高所得世帯の割合はまだ少ないのが特徴です。このことから、ダナンでは購買力の高い市場を形成するにはまだ時間がかかると考えられます。
今回の調査により、ベトナムの世帯収入は地域ごとに大きく異なることが明確になりました。ホーチミン市やハノイ、ダナンなどの都市部と地方では、消費行動や購買力が大きく異なるため、市場戦略を立てる際には十分な考慮が必要です。
特に、ターゲット層を明確にすることが、マーケティング成功の鍵となります。ホーチミン市やハノイの消費者に向けた商品やサービスは、高所得層向けの価格設定が可能ですが、地方市場ではより低価格帯の商品や、支払い方法の柔軟性を求める傾向が強いと考えられます。
市場調査では、「誰に向けて発信するのか」を明確にし、ターゲット層の収入レベルを考慮した戦略を策定することが重要です。今回のデータを活用することで、より効果的なマーケットアプローチが可能になり、2025年以降のベトナム市場での成功に繋がるでしょう。